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心理検査の結果と所感

年末に心理検査(WAIS-IV)を受けてきた。

受けるにあたって、自分の(一部の)能力がどのくらいの水準なのか、バランスにどのような傾向があるのかを知ることは仕事をしたり他人とコミュニケーションをする上できっと役立つだろう、というモチベーションがあった。

...とはいえ「もしスコアが高かったらどっかでイキりてえな〜」という気持ちが1mmもなかったかと言われると嘘になる。まあ能動的に心理検査を受ける人は多かれ少なかれそういう気持ちがあるんじゃないかと思ったりもするが。

検査自体はそれほど負荷のかかるものではなかった。WAIS-IVを受けられる機関がたまたま家からの徒歩圏内にあったので、仕事の合間にサクっと受けることができたのが大きい。さすがに「IQ測ってくるので午後はAFK!」みたいなことは中々言いにくいので助かる。

検査から結果報告までは2週間ほどかかるものらしく、昨日にようやく結果報告を受けたので、内容を見ながら所感を書いていこうと思う。

まず、検査結果をそのままドーン。

項目 合成得点 パーセンタイル 信頼区間(90%)
全検査IQ 113 81 108-117
言語理解 110 75 104-115
知覚推理 112 79 105-117
ワーキングメモリ 117 87 110-122
処理速度 105 63 97-112

心理士からの所見をザックリまとめると、以下のような感じ。

  • 項目間でスコアに有意な差が見られたので、全検査IQは参考程度の結果になっている
  • 言語理解は平均の上レベルだが、能力に偏りがある
  • 知識や単語量は非常に豊富
  • 単語を理解はしているが、その理解を言語化することに大きな困難を抱えている
  • ワーキングメモリーは非常に大きい
  • 短期記憶、集中力に優れている
  • 処理速度は他の項目より有意に低い

納得感のある部分や環境的に気になってなかった部分が明らかになったので、個人的には満足のいく結果だった。とはいえ、どっちの意味でも特にネタにならないスコアだったことは少し残念。

...いや、別に積極的にネタにすることでもないんだけどね。センシティブな分野でも使われるテストで、ネタを振る相手によっては地雷になったりするし。


言語理解についてはとても納得感がある。特に「理解している意味を言語化するのが苦手」というところはかなり実感している。

というのも、自分の記憶方法に問題があることには前々から気付いていた。自分が単語を記憶するとき、対象を説明する文章や論理を頭の中に作るのではなく、大量のラベルを関連付けるような形で記憶しているので、意味を文章で説明するためにかなり負荷の高いエンコードが必要になっている感じがする。

同じような意味の単語が複数あったときにどれを使えばいいか、つまりニュアンスに従って適した単語を選ぶためには効率がいい覚え方なんだけど、口頭での会話のスピードが落ちるのはかなりのデメリットになっていると感じる。

逆に、筆記だと推敲に時間をかけられるのでそういうデメリットを無視できてメリットだけが残る、という実感もある。物書き向きの特性を持ってると言えるのかもしれない。


ワーキングメモリー(WM)についてはあんまり意識していなかったところだった。でもよくよく思い返してみるとWMが自分と同程度あることを前提とした文章構成で会話文を考えることが多かった気がしている。

例えば、本題の前置きとして複数の前提条件の説明をしたりとか、2つくらい前のトピックと絡めたジョークを入れるとか。そのあたりはもう少し抑えた方がいいのかもしれない。


処理速度※の低さ... 音ゲーの密集地帯をうまく処理できないとかそういう経験はあるけど、普段はあんまり困ってないので意識してなかった。(平均を越えてるので低いわけではないけど、他の項目との相対的なアレです)

運転とかそういう仕事ならともかく、SWEに処理速度はあんまり求められていない気がする。

あと、検査の内容(詳細は当然伏せる)からすると、これは基礎能力より慣れによって大きく生産性が変わるタイプのタスクの処理速度を指している気がする。少なくとも僕の所感では「この検査で測れる能力」の高低によって日常生活や仕事に大きく影響が出る気はしない。

※ WAISでいう処理速度は思考の速さではなく、「単純作業のスピード」や「視覚情報からそれに応じた行動を起こすまでの早さ」を指すらしい


心理士からの今後のアドバイスの中に、「高い記憶力を活かして会話の定型文や頻出の文章構成を覚えることで説明能力が上がると思われる」という旨のものがあった。

個人的には日本語の自由度の高い文法に頭の中の言語化されてない認識、理解をエンコードしていく刹那の作業に快感を覚えているふしがあるので、このアドバイスを素直に聞き入れるかは悩むところ。仕事相手だったり講演の聴衆から文句が出たら再考する、という感じで一旦保留することにする。

ただ、(仕事上重要度の高い)英語を学習する必要性を感じている都合上、そういう考え方を取り入れていかないと近い将来困ることになる予感がある。英語は文法の自由度が比較的低い、かつ強勢等時性を持っているので会話文の組立てと発話のコストが日本語より高い。ビジネスレベルで会話できるようになるためには、今日本語で会話するために使ってる回路とは完全に別の回路を作らないとどうにもならなさそうだ。おそらく、単語を記憶するための仕組みから別物にするべきなんだろう。

心理検査にかかったコストは2万円弱。自己分析のいい機会になったし、いい買い物だったと思う。